ユキが寝足りないような赤い目をして仕事場に
やってきた。
「どうしたの?」
「女友達から夜中の2時に電話があって突然泣かれちゃって……。
失恋のショックで苦しくて眠れないっていうから、
結局朝まで電話をつなぎっぱなしで付き合ってたんです。」
そうだよねえ。
ひとりでは抱えきれないあの気の狂いそうなやるせなさを
分かち合ってくれる存在といえばやっぱり女友達だよね。
聞いてもらったところでカレがもどってくるわけでもないし、発展的解決につながらないことはようく分かってる。
でも、誰かの前で思いっきり泣いてみっともなく弱音を
吐かずにはいられない。
それだけでものすごく救われるんだよね。
その昔、結婚しちゃった女友達の家に駆け込んで
彼女のダンナと二人して失恋の痛手を慰めてもらった
ことがある。
でも立場が変わっちゃうと微妙に何かが違う。
一段高いところに上ちゃった彼女には、振られたときの
生々しい傷の痛みなんか遥か昔のものになりつつあるんだろうなあなんて思うとふと醒めちゃう。
やっぱ、自分と同じようにひとり暮らしの独り身でないと
分かち合えない何かがあるのも確か。
そういう意味でも一人二人と女友達が結婚していくって
切ないことだよね。
そう言えば、思い余って元カレの家のドアをドンドン叩いたこともある。
新しいオトコができたからカレの元を去ったというのに
そのカレとダメになちゃったからまた舞い戻ってくるなんて
サイテーだよね。
そんなの百も承知だよ。
それにもう元のカレのこと愛してなんかいないから、
たとえ受け入れてくれたところで救いなんかになりゃあ
しない。
ああ、それでも行かずにはいられないんだよね。
この心の疼きを抱えて一人でとても夜を乗り越られる自信がなかったから。
すがるしかなかった、誰か静かに聞いてくれる人に……。
で、元カレが扉を開けてくれて
「バカだなぁ、おはいりよ。」って迎え入れてくれるんだけど、なんだかその人の良さがむしょうに腹が立ってくる。
相変わらずの「都合のいいオトコ」ぶりがイヤ。
自分勝手な話なんだけど。
さらにそんなオトコを訊ねる自分はもっとイヤ。
ああ〜、自己嫌悪の土壺にはまっていく……。
女友達はやっぱり大事にしたいよね。
いまや他人の失恋話をひたすら聞いて慰める立場だけの私になってしまったけれど、
自分の昔を思い出すにつけじっくり聞いてあげることに徹することにしている。
気のきいたアドバイスなんて所詮あるわけないんだから。
絶対死ぬことだけは考えちゃあダメといいながら、
哀しみを吐き出すだけ吐き出しってていうスタンス。
そういうプロセスを経てやがて自分の足で立ち上がり
新しい幸せをつかんでいくのは他でもない、彼女自身なのだから。





