カレの過去を知る羽目になる、
で、相手のオンナの顔が分かってしまう。
それが親友だったりすると、それはもう十字架背負ったしんどさが
あるけど、ただ単にカレと寝たオンナの顔を知るだけでも
たまらなく切ない。
で、何でだろうか?
自分のカレと関係したオンナって、確かにいいオンナかもしれないけど
性格めちゃくちゃ悪いヤツ、或いは、ちょっと待ってよ!許容範囲広すぎじゃ
ない、こんなのあり!? というどちらかに決まってる。
星の数ほどオンナがいるのに、よりにもよってどうしてあんなコ選んだの?って
抗議したくなるのは私だけ?
こんなことがあった。
カレの腕に腕をからめて身体を寄せ合うようにして、バーの狭い階段を
下りている時、息せききって上ってくるひとりのオンナとすれ違った。
もう香水ビンが歩いてるみたいにシャネルのアリューリュの香りを
強烈に漂わせながら・・・・・・。
艶やかなチンチラのコートを羽織って、巻髪に一分のスキもなく
顔みなくても自信たっぷりの美人なんだろうなって分かる。
で、そのオンナ狭い階段なのに、そこのけそこのけって感じで
全く譲る気配がない。
香水と同じくらい強いヤナ女光線発散してるってわけ。
仕方ないから思わず腕ほどいてカレと一列になった瞬間、気まぐれに顔を
あげたオンナが「アッ!」ってちいさな声をあげた。
むちゃくちゃ目が大きい。
白目が青白く澄んでいて、高く小さく形のいい鼻。
グロスで艶めく唇まで整っていてケチのつけようがない。
ヤバイ!完璧負けてる!
すれ違ったオンナと勝負してもしょうがないんだけど、好きなオトコと
歩いているときの女心ってそんなもんでしょ。
でも、それだけではすまなかったの。
カレの身体がこわばってるのがこっちにも伝わってくる。
「おお〜ッ!」と低く唸るようなカレの声。
えッ? もしかして? 嘘? やだ、ホント!?
「元気?」「またな。」の一言でふたりはすれ違ったんだけど、
二人がただならぬ仲だったんだってことは、女の直感ですぐ
分かる。
二人してカレの部屋に戻ってきてからが大変だった。
やっぱり、聞かないわけにはいかないもん。
「さっきの人、誰?」
「誰って、昔の友達さ。」
「友達って?」
「いいじゃないか、詮索しなくても・・・・・・。」
「だって、さっきの空気尋常じゃあなかったもん。」
あたかも私は、ホシを追い詰める刑事。
カレは観念したようにぽつりぽつりと白状する犯人。
「彼女、一時期オミズやってたこともあったんだけど、
あれだけの美貌だろ?
とにかくオトコたちから言い寄られた。
でも結局オレを選んでくれて、仕事やめて2年半オレに尽くしてくれた。」
なにそれ?
そこまで言う?
「じゃあなんでそんないいオンナと別れたの?」
「まあ、いいじゃない。オトコとオンナのことは・・・・・・。
とにかく、今は君が1番なんだから。」
そんなこといわれてもこうなると焼け石に水。
「じゃあ、あの女の人と付き合っているとき私が現れて
あなたが好きって告白したら、あなた、私を選んでくれる?」
「そんな仮定の話、聞かれても答えようがないよ。」
「絶対、あの人選ぶでしょ。」
「わかんないよ。」
「だって、目が大きくてすごく綺麗だもん。」
「君だって充分可愛いよ。」
「ねえ、でもあの人ものすごく性格悪そう。
あんな鼻持ちならないヤナ女愛せるあなたが、私信じられなくなってきた。」
「すれ違っただけの人なのに、勝手にストーリーふくらませるなよ。
君が詰問するから素直に答えただけなのに、なんでそこまで言われなきゃあ
ならないんだよ!」
そう、不条理なのは間違いなくわたしの方。
分かっているけど止められない。
しかも、ヤナ女が原因で大好きなカレと仲たがいするなんて
哀しすぎ。
でもね・・・・・・次第にギクシャクしてきて、結局その恋愛、沈没しちゃうのよ。
ヤナ女の怨念て強力なのかも。
ううん、私がバカなだけ・・・・・・。
カレの過去のオンナの後者の例、
ほら、こんなのアリ?っていう話でも
別のオトコとおおもめしたことがある。
「ええ〜ッ! あなたって、そんなにオンナの趣味悪かったの!
だってあの人さしたる美人でもないし、第一ファッションセンスゼロだもの。
何年前のワンピ着てるのってかんじでさあ。」
「やめろよッ! 人のこと悪しざまにいうやつってオレ嫌いだぜ。」
そんなふうに一喝されて、ものすご〜く険悪な雰囲気に・・・・・・。
バカだね〜、私って。
要するに、カレの愛したオンナは全部許せないっていう嫉妬の表れにすぎない
訳なんだけど。





