幸せをつかむ LOVE握力

 

Vol.8 オトコを着替えるとき.....

 

 

男と女で決定的に違うところ。
それは別れ方。
勿論、個人差やケースバイケースってことはあるにせよ、
往々にして男ははさみでバツンと断ち切るような別れを好まない。

私の経験からすると、
次第次第に連絡が遠のいてフェイドアウトするのが男のやり方。
何十回目かで繋がった電話で
「ねえ、どうしたのぉ?寂しいじゃない。」って聞くと、
「うーん。なんだかバタバタしちゃってさ。」と
びっくりするくらい醒めた声で返事がかえってくる。
で、電話の切り方は決まって、
「なっ、落ち着いたらまたこちらから電話するからさ。
じゃあな。」
これって、こちらから電話してくれるなってことでしょ。
それでも額面どおり受け取って、そろそろ落ち着いた頃かなあと思って
電話をしても、哀しいくらい繋がらない。
やがて、 「別れ」がボディブローのように効いてきて、
ものをつかむ力さえ失っている自分がいる。
でも、夕焼けと夕闇みたいに境界線がはっきりしない別れ方
してるから、半年ぶりくらいにこちらから電話すると、
じゃあ逢おうかみたいになって、何となく昔のように
デートのフルコースってことになることもある。
復活というわけではないのに、細々とつながっているコードが
増えていく感じが面倒で、今度はこちらから連絡しなくなる。
もしかしたらこれって、オトコの思うつぼなのかも。



 



女は到底できない。こんな別れ方.....。
海と空を分断する水平線みたいに終わり方がはっきりしていないと
気がすまない。
ふられるのも切ないけれど、こちらから別れを切り出すのは
尖ったナイフで心をえぐられるみたいに辛い。
ふられるのとふるのでは、心の痛さの種類が全然違うのだ。
特に、他に好きな男が出来たとき。
「ごめん。別れて。
別の男、好きになっちゃた。」
深呼吸して、テキーラを一気飲みする感じでこう言う。
相手が思いっきり殴ってくれればいっそ楽なのだけど、
いつもオトコは捨てられていく子犬のような目で
私の瞳を覗き込み、無言で行かないでと哀願する。
すると、ふたりで過ごした暖かあい場面ばかりが頭の中で
グルグル回ってこちらのほうが、嗚咽してしまう。
でも、ダメ。
なだめようと肩に回してくる彼の手をもはや振り払わなくては
いけないのだ。


 


これって二股より潔いいじゃない。
自分の身の丈に合わせてオトコだって着替えなきゃならない時が
あるのだ。
生身なんだから仕方がない。


そう自分に言い聞かせながら生きてきた気がする。

日時: 2008年09月26日

Profile

南美希子

みなみ・みきこ
東京生まれ。テレビ朝日アナウンサーをへてフリーランスに。数々の番組でキャスター、コメンテーターとして活動。またオシャレ、結婚、子育て・出産、美容などのエッセイでも人気。著書に『オバサンになりたくない』『お嫁に行くまでの女磨き』『男の勘違い』他。まさに“Glamorous way of life”の先駆者レディ。