Vol.67 お願い、翼をたたまないで……
女がいつも曇りのない笑顔をつくれるのも、
人に優しさを振りまくことができるのも、
美しく着飾るのを忘れないのも、
自分の丸みを帯びたカラダをしみじみいとおしい
と思えるのも、
それはみんなみんな、男の逞しい翼の根元の
ビロードのような羽毛にくるまれて守られているからなのだと思う。
「働く」という手段を手にした女はそのことと引きかえに「財力」を得る。
さらに才覚と運に恵まれた女たちは、単なる「収入」ではなく「富」さえもその手におさめることができる。
この「富」というものがことごとく女たちを自由の海に解放してゆくのだ。
行きたいところに行け、
食べたいもの、を食べ、
買いたものを買ってというふうに、
自由に自分の人生をデザインすることができる。
女を磨き上げオトコたちを惹きつけることだって
可能かもしれない。
続々と恋に落ち、飽きたらまたオトコを着替えるなんてことも夢ではないかもしれない。
それどころか未婚で子供を授かっても、「富」の力さえあれば難なく子供を養い育てていくことだってできるのだ。
しかし、仕事で成功を得、「富」を手にした女は
不十分な「収入」に嘆く女よりもしかしたら
ずっと不幸かもしれない。
だって、人生はなんでも自分の思いどおりに
描けるものだと錯覚してしまうから。
不自由しているものは何ひとつない。
都心の夜景を見下ろす、ひとり暮らしには広すぎるくらいのリビング。
イタリーで特注した姿のいい家具たち。
ブテックさながらのウォーキンクローゼット。
あら、物質的なものだけではないのよ。
そう彼女は反論するに違いない。
電話をすれば15分後に迎えに来てくれる
ボーイフレンドだっているわ。
ベッドをともにするオトコもね……と。
でも、彼女は秘かに気付いているのだ。
いいようのない欠落感に。
人生のジグゾーパズルを完成させるために大切な
ある大きなピースが足りないことに……。
それは、とりもなおさず「守られている」のだという安心感。
身も心も安心して委ねることのできるいとおしい
男の大きな翼の下に守られているのだという
幸福感。
翼の温もりは自らの「財力」ではおぎないきれないことを
女たちは悟っているのだ。
男の頼もしい翼に守られながら、ときおりそこから顔を出して自由の空気を吸う……、
それがもしかしたら女にとって最高の幸せなのではないかしらということも……。





