「いかにも“女”って感じの女、私、すごい苦手! 例えば、あんたよ。よくそんな胸元が開いたワンピース着られるよね。ネイルは赤だし! うわぁ…」
「わ、わ、私ですか…」
「そうよ! 」
WOW。正面切ってディスられた。数年前、飲みの席にて。知り合いの誰かの友人らしき、初対面のオバハンに。化粧っけのない顔に、黒ゴム一本縛りのポニーテール、オーバーサイズの白シャツに、短く切られた四角い爪。明らかに私とは正反対のタイプの、女である。私は別に、彼女の地味なルックスに文句はない。人それぞれだし。しかし、「お前派手だな」と攻撃してくるのはいつだって、何故か、“地味”の方々。
「何やってる人なの? あんた」
オバハンは私に聞いた。フリーター、と答えて欲しそうな顔をしていたが、私は言った。
「ライターです」
「ライターって何。タバコに火をつけるあれ?」
非常にサムくて、どうしよう。
「コラムとか、書いてます」
ムッとした私がそう言うと、何故か私以上にムッとしたっぽいオバハンが、「何についてよ? 」と鼻の穴をデカくして続けた。バカにされるだろうな、と思いながらも、私は胸を張って答えてやった。
「恋愛について! 」
オバハンの鼻の穴が更に膨らんだ、と思ったらやっぱり、きた。
「うわぁ。ギャルだねぇ〜」
はい。頂きました、想定内のキーワード。THE“ギャル”。派手な女をこの言葉でひとまとめにして、鼻で笑う地味な方々は、とても多い。特に、女! 何故、彼女たちは、私たちを、敵視する? 「女っぽい女が嫌い」だと公言し、否定的な意味で、私を「ギャル」だと切り捨てた目の前のオバハンは、“言いたいことをハッキリと言う、男っぽくてサバサバしている自分”に酔っている風だが、失礼なことをズバズバ言うのと、サバサバは全く違う。それに、恋愛コラムなんて、「スイーツ(笑)」とか思っているんだろうけど、スイートな恋を1度でも経験した女は、恋愛をバカにしたりはしない。
彼女たちは、恋愛や女を謳歌している女を「バカなギャルだ」と見下すことで、自分はその上に立っているつもりなのだろう。私たちはあいつらとは違う、「知的な人間」みたいに。(苦笑)。しかし、そんな彼女たちからこそ、匂うのだ。悪い意味での、“ド女臭”。
心にネットリと張りついた“嫉妬”を隠すために張り巡らされた、プライド。それゆえに素直になれない葛藤から言動に滲みでる、ドロドロとした意地悪さ……。それってまさに、“女”が持つ嫌な部分、フルキャスト。
「あんたこそ、いかにも“女”って感じなんですけど! 欲求不満全開じゃん! 」
と、私は叫ばなかった。彼女は、自分とはタイプの違う女を見下すことでしか、自信を保つことができないタイプ。実は、誰よりも自分に自信がない。私は、自分と同じくらい強い相手から売られたケンカならいつでも買うけど、自分より弱い女とはケンカしない。満たされぬ“女”から、意地悪いお局へと変化してゆく過程、同じ女だから分からなくもないのだ。そして、私のようなギャルにそう思われていることこそが、彼女たちにとっては何よりもの屈辱。それを口に出して言ってしまえば、彼女たちは崩れてしまう。まぁ、言われっぱなしはストレスが溜まる。でも、そこは男らしく、溢れそうな毒をゴクリと呑み込んでやった。
でもね、思う。恋愛やセックスは、男ありきかもしれないけれど、“女”は、自分の手でも満たすことができる。たとえ透明でも、マニュキアを塗ったり、洋服の下に、可愛い下着を着けてみたり、それだけでも自分の中の“女”は喜ぶのだ。もちろん、本当にそういう欲求がないのならしなくてもいいけれど、もしないのなら、女を満たしている女を必要以上に憎んだりはしないもの。“女”の殺しすぎは、まったくエロティックではない“ド女臭”を放ってしまう。
そして、バカにされる言葉としても使われがちな“ギャル”という言葉だけど、私はそう呼ばれることに誇りすら感じている。だって、ギャルって、自分の中の“女”と上手に付き合っている女ばかりだから。女なら誰もが持つ、セクシュアルなメスの部分も上手に開放し、素直に「恋がしたい」と口に出し、途中で傷ついて泣いてもまた前を向き、新しい恋をする強さを持っている。
頭が悪そう? それはどうかな。毎シーズンのトレンドをチェックし、日々のヘア&メイクにスタイリング。ギャル系だけに限らずとも、セルフプロデュースに長けた器用な女が、バカなはずがない。ショップに買い物に行っても思うが、垢抜けている店員の方が営業上手。地味=知的とは、限らねぇんだよ。

