〆切に追われすぎて立ってしまったアホ毛をキャスケットで隠し、ハダシにムートンブーツを履いて、コンビニでおにぎりの具を選びながら、肩に耳で携帯を挟んで、私は母と話していた。鮭とツナマヨの間で揺れながら私が母の話を「うんうん」と聞き流していると、突然、母が悲しそうな声を出した。
「黒川紀章さんが亡くなったわね」
「え、建築家の? 本当に?」
〆切に追われすぎて立ってしまったアホ毛をキャスケットで隠し、ハダシにムートンブーツを履いて、コンビニでおにぎりの具を選びながら、肩に耳で携帯を挟んで、私は母と話していた。鮭とツナマヨの間で揺れながら私が母の話を「うんうん」と聞き流していると、突然、母が悲しそうな声を出した。
「黒川紀章さんが亡くなったわね」
「え、建築家の? 本当に?」
「恋人と、呼び合える、季節の中で、どれだけの言葉を貴方に贈れるだろう♪」
恋愛という見えないものの中を手探りで歩いた10代の頃に聴いてた、Misiaの歌。16歳の私はこの曲を聴いて思ったんだ。今の想いはきちんと言葉にして、好きな人に伝えたいな、って。
「好きーっ!」とか、「愛してるーっ!」とか、躊躇することなく叫ぶことが出来た、女子高生の私達はもしかしたら、恋愛というものを知ったかこいてる今のオトナな私達よりも、上手に恋愛、していたのかもしれない。だってあの頃は、永遠を、今よりリアルに信じていたし、恋愛という夢を、今よりまっすぐ見ていたし、「愛してるーッ!」と叫んだ声が、泡みたいに消えちゃうことも、知らなかったから……。でも、だけど……。
「実は1度だけ、愛してるって、彼に言ったことがあるんだ、私」
2年間付き合っている恋人と、“愛してる”と言い合ったことがないことが、“フツウじゃないんじゃないか”と悩む女友達S(27)が、こそっと私に打ち明けた。
「で、彼は何て?」
「好きだよ、って……(涙)」
「……」
「フツウ、カップルって”愛してる”って、言い合うもの?」
女友達S(27)が突然、向かい合っていたカフェの丸テーブルに身を乗り出して、眉間に皺を入れて、小声でそっと、私に聞いた。「え……」。Sのド迫力とマジな囁きのコントラストにビビりながらも、私はまずコーヒーを一口。そして、考えた。“フツウ”から始まる質問ってのはつまり、平均的なカップルはどうしているの?という疑問。ドアが閉ざされた恋人同士の空間の中で、他のカップルがどう過ごしているか、実は誰もが知らない世界。それでいながら私達、気付いたらもう、恋愛暦10年を超えるお年頃。今更聞けない“カップルの常識”。遅ればせながら友達に聞くときはやはり誰もが、小声になる。(笑)。
ファッションの先取りとして着ていたはずの秋服でも、いつの間にか既に肌寒く、「あ、」とふと、季節が冬へと向かっていることに気付く時、女は下唇を、キュッと噛む。あぁ、なんて切ないの、10月の空気の、この感じ。「彼をそっと抱きしめたくなる……」と呟く、彼氏アリの女友達に、「自分をキツク抱きしめたくなる……」と泣く、彼氏ナシの女友達。(笑、と書きたいところだが、笑ったら殺される)。そう、このシーズンの到来だ。
男の幸せ「浮気しても我慢してやぁ」 VS. 女の幸せ「誠実に愛してください」。
これはとても大雑把な例で、中には「誠実に愛したい」と思っている男も、「浮気しても我慢出来ます」と言う女もいる。しかしもしかしたらそれは、前者の男は女に、後者の女は男に、それぞれ洗脳されているだけなのかもしれない……。男と女の“幸せの形”は、男と女、どちらがより大きな“パワー”を持っているか、によって変わる!
「幸せになりたいなぁ」
男も女も、口を合わせてそう言う。そしてそのほとんどの場合、幸せとは“男女が一緒になること”を指している。では、男も女も、互いに1つの幸せを目指しているのなら何故、さっさと顔を合わせてくっ付いて、1つの幸せを実現しないのか…。また、くっ付いて幸せを手に入れても何故、別れて幸せを手放してしまうのか…。
答えは1つ。男と女が求めるのが同じ、“男女が一緒になること”であっても、理想とする“男女の一緒になり方”が大きくズレているからだ。
「一目惚れなんて信じない! しかも一目惚れに必要な時間が0.5秒って言うんなら、男の顔と体と洋服だけで惚れてるってことじゃん! もっと大事な中身を知ってからじゃなきゃ、好きになれない! 」
女友達S(25)の意見に、一目惚れYES派の私(25)は一瞬シュンとした。(こういう時、何故かちょっと、罪悪感を持ってしまうのは何故だろう。私は面食いで、カッコイイ男が好き。でも、別にそれだけで男を選んでいる訳でもない。ただ、“私は男のルックスはどうでもいい! 内面で男を選ぶ! ”と言う女と出会うと、ごめんなさい私が悪かったです、というキモチになっちゃうんだよなぁ…)。
でも、一目惚れって本当に、男の外見しかみていないってことなの?そして、内面をよ〜く知ってから惚れる方が、偉いわけ!?
「一目惚れに必要な時間って、0.5秒なんだって! 」
女友達M(28)が目を、キラキラさせて言った。
「マジで!?恋に落ちるのに、1秒かからないってわけ?」
私も目を、ギラギラさせて聞いた。
「うん。0.5秒! ちゃんとした研究で割り出された数字なんだって!」と、M。
(ちなみに、"ちゃんとした研究"というのは私たちがよく使う、モットモらしくも実はテキトーな、超便利なコトバ。どんな研究なのか、は掘り下げたりはせず、自分が気に入る内容なら"研究なら間違いねぇ! "信じるし、気に入らなかったら"胡散くせぇ〜! "と笑える)。
「何?研究で?じゃ、本当じゃん!! 」と、私はキッパリ断言! (笑)